海外営業物語!駐在員の体重計はジェットコースター

海外営業物語

順風満帆?な日々

アメリカで夢の駐在生活を始めた俺。家の契約を済ませて、長期滞在者用ホテルから脱出する日も決定したし、人見知りするアメリカ人社員とも少し打ち解けてきた感じだ。楽勝とまでは言わないが、万事OKだろう。

「これなら、俺は海外駐在としてこの国でやっていける。」

そう思った俺だったが、そんなに簡単ではなかった。俺は海外駐在の過酷さをまだ理解していなかったのだ。

最初の1週間はすべて外食

海外駐在では、前任者からの業務引き継ぎは必須だ。駐在者は機密情報を取り扱う業務を担当していることも多く、それだけ重要な仕事を任されている。引き継ぎ漏れで業務がストップすれば、それは会社に損害を与える事を意味する。俺は前任者との引き継ぎ期間を1週間設定し、その間に彼に色々と教えてもらう事にした。

業務については勿論教えてもらったが、アメリカという国で住むヒントや、車の運転方法についてもレクチャーしてもらった。なにせ、俺はこの国に来るまで、日本ではペーパードライバーだったのだ。ペーパードライバーから毎日の通勤で100キロの運転する身への転身。慎重な性格なので事故る可能性は少ないとは思ったが、用心するに越した事はない。運転事情についても、詳しく教えてもらった。

アメリカは車社会で、車を持っていないと買い物にも行けない。日本では高齢者になると免許返納を勧められるが、アメリカでは95歳のおばあちゃんでも運転している。理由は2つあって、運転出来ないと食料が買えずに困ると言うのと、歩いている歩行者が少ないので多少運転ミスをしても人身事故の可能性が低いことだ。いずれにせよ、電車などの公共交通機関が揃った日本とは、事情が大きく異なる。

さて、困った。家族持ちの前任者が帰国するのは1週間後で、その間は彼が自動車を使う。すると、彼が帰国するまでの間、俺は自分の車が無いことになるのだ。仕方なく、毎日の会社への送迎を前任者や現地社員にお願いすることになった。車がなければ、この国では働くことすら出来ないのである。

激太り

毎日送迎をして貰うということは、毎日誰かと一緒に外で夕食を食べることを意味する。日本では外食のカロリーをそれ程気にする必要はないが、ハンバーガーやステーキが主食で、人口の半分以上が肥満体型のアメリカでは、カロリーは大問題である。元々ハンバーガーが大好きだった俺は、毎日外食で高カロリーの食事を堪能した結果、激太りしてしまったのだ。

「この体重計、不良品じゃないか!」

IKEAで購入した体重計が70キロを指した時、俺はすぐに故障を疑った。日本を出発する前に測った時、俺の体重は65キロだった。いくら外食続きだからって、1週間で5キロも太るわけがない。大食いファイターじゃあるまいし・・・

「アメリカ製の製品は質が低いと聞いていたが、いきなり不良品の体重計を買わされるとはな。」

自分の運の悪さを呪いつつ、翌日俺は雑貨屋で別の体重計を買った。そして、その体重計の針がまたも70キロを指した時、俺は疑いようのない事実を悟ったのである。俺は本当に、本当に、信じられないが、1週間で5キロも太ってしまったのである。

激ヤセ

駐在員の過酷さが太る事だとすれば、それ程ヒドイようには聞こえないかもしれない。しかし、体重計がジェットコースターの様に上下すると聞いたら、どうだろう?少しはその辛さが分かって貰えるだろうか?

駐在員は、基本的にマイノリティー(少数派)である。人種的にもそうだし、高給取りの移民言う意味でも、マイノリティーだ。まして俺のように、20代の独身で駐在員となると、似たような境遇にいる人間は殆どいないと思って良い。

日本企業で駐在をするのは、大抵30代後半以降の家族持ちである。彼らは平日に仕事をして、週末は家族と幸せそうに過ごす。結構なことじゃないか。高給を貰いつつ、家族との時間も確保できる。羨ましい限りだ。

ところが、俺はどうだろう?似たような境遇の人間を探すのはほぼ不可能なので、この国に友達は一人もいない。平日は仕事をして帰宅、週末は家で一人でYoutubeを見るだけ。会社以外の人間と会話をしない状況が1週間経過した。オレの心は、次第にやつれて行った。

ジェットコースターの話に戻ろう。1週間で5キロも激太りした事に驚いた俺だったが、その1週間後に体重を測ったら、体重が65キロに戻っていたのには愕然とした。どうしてそんな事になったのか?今度こそ故障だろうか?

いや、体重計の故障ではない。メンタルがやられたのである。駐在員は孤独だ。異国の地で、友達はおらず、話し相手は仕事仲間だけ。俺は気づけば食欲が徐々になくなり、体重は1週間で5キロ減っていた。5キロ増えて、5キロ減る。正にジェットコースターじゃないか。

まだアメリカに来て2週間。このまま倒れる訳には行かない。俺は駐在員として、アメリカで3年過ごす必要がある。それも、ただ生活するのではなく、仕事で活躍しなければならない。俺はメンタルを安定させるため、友人作りをを本格化させることを決意した。

「友達100人出来るかな〜」

小学校の頃何度も唄った歌が、頭の中で皮肉ぽっく流れていた。

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K

共働きの妻と愛する子供を持つバイリンガルパパ(TOEIC950点、英検1級)。家事、育児、仕事と毎日忙しく奔走中。忙しすぎて風邪でダウンする事が時々ある。10年の海外営業経験を活かし、ブログでは英語学習のノウハウ、幼児英語教育(おうち英語)、海外営業の関する情報を提供しています!